G菅野ポスティング申請でも「残留も選択肢」まだ迷う理由

公開日: 更新日:

 少しでもレベルの高い場所で自分の力を試したいと考えるのはアスリートの本能だ。野茂もイチローも松井秀喜も、食い物を含めた生活環境は二の次で高みを目指し、海を渡った。

【写真】この記事の関連写真を見る(15枚)

 そこへいくと、本気でメジャー挑戦する意欲があるのかどうか。7日にもポスティング申請の手続きをするといわれる巨人のエース・菅野智之(31)のことだ。

 ポスティング申請後はメジャー球団との交渉に入るが、巨人残留の選択肢もあると大塚副代表は話している。

■コロナ感染拡大は日本も一緒

 複数のスポーツマスコミによれば、理由は折からのコロナ禍とか。メジャーは通常、レギュラーシーズンが162試合制だが、今季は60試合制にとどまった。来季は4月1日の開幕が決まっているものの、予定通りに試合が行われるか、メジャーの状況は依然、不透明だからだという。

 確かに米国のコロナ禍は深刻とはいえ、感染が爆発的に拡大しているのは日本だって同じ。日本のプロ野球が来季どうなっているのかも、現時点では米国のメジャー同様、不透明なままだ。

「巨人が日本シリーズでソフトバンク相手に4タテを食らったことが大きいのでしょう」と、ある放送関係者がこう続ける。

■シリーズ4連敗の波紋

「菅野はシリーズ初戦に先発したものの、6回6安打4失点で敗戦投手になった。7回3安打無失点で勝利投手になったソフトバンクのエース・千賀とは対照的なピッチングで、初戦に先発したチームのエースとしていい流れをつくれなかった。伯父である原監督の意向も大きいのではないか。原監督は当初、今オフの菅野のメジャー挑戦に好意的だった。甥っ子のかねての夢を、今年は後押しするつもりでいたといいます。ところが日本シリーズで2年連続4連敗、ソフトバンク相手に手も足も出なかったことで気持ちが変わったのかもしれません。来季は3年契約の3年目。今年のような屈辱は味わいたくないでしょうし、菅野は来季も巨人でプレー、1年後に晴れて海外FA権を行使してメジャーに移籍する選択肢もあるわけですから」

メジャー希望球団の感触

 さらに決定的なのが米球界の反応ではないか。

 ニューヨーク・ポスト紙(電子版)によるFAランキングによれば、田中将大(32=ヤンキースからFA)は14位、菅野は21位。カナダのスポーツ専門局TSN(電子版)では田中が13位、菅野は23位だった。

 昨年まで6年連続2ケタ勝利の田中ですら、ヤンキースから1年約20億円のクオリファイング・オファーを受けずFAに。いまだ移籍先は決まっていないのだ。「メジャーで1勝もしていない菅野は田中以下」という見方が多いのも当然と言えば当然か。

「菅野には希望球団があると聞きました。それがどこなのかは知りませんけど、すでに代理人を決定したともっぱら。だとすれば代理人を通じ、メジャー側の感触は探っているでしょうが……」と、ア・リーグのスカウトがこう続ける。

「菅野がプレーしたがっている球団の現時点での感触が、芳しくないのではないか。例えば巨人とパイプのあるヤンキースです。菅野のメジャー志向をどこよりも早く察知、周辺も含めてかなり突っ込んだ調査をしているフシがありますが、そのヤンキースが先発の補強を急がない方針というのです。エースのコール、昨年18勝しながら家庭内暴力で出場停止処分を食らっていたヘルマン、2メートル近い左腕のモンゴメリーと現時点での先発候補は3人ですが、残る2人はマイナーの若手有望株を抜擢するプランもあるそうです。ケタ違いの実力があればともかく、菅野はそこまでのピッチャーではない。つまり確実に計算の立つ先発は欲しくても、費用対効果などを考えれば、焦って菅野に飛び付く必要はないとの判断が働いているのでしょう。ヤンキースと同じように考えているチームは多いですから」

 いずれにせよ、メジャーで成功しようと思ったら、自ら退路を断つくらいの覚悟が必要ではないか。状況次第で残留なんてハンパな気持ちで大成した日本人選手はひとりもいない――。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    大谷の今季投手復帰に暗雲か…ドジャース指揮官が本音ポロリ「我々は彼がDHしかできなくてもいい球団」

  2. 2

    センバツVで復活!「横浜高校ブランド」の正体 指導体制は「大阪桐蔭以上」と関係者

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希の肩肘悪化いよいよ加速…2試合連続KOで米メディア一転酷評、球速6キロ減の裏側

  4. 4

    阪神・佐藤輝明「打順降格・スタメン落ち」のXデー…藤川監督は「チャンスを与えても見切りが早い」

  5. 5

    PL学園から青学大へのスポ薦「まさかの不合格」の裏に井口資仁の存在…入学できると信じていたが

  1. 6

    巨人・坂本勇人は「最悪の状態」…他球団からも心配される深刻打撃不振の哀れ

  2. 7

    ソフトB近藤健介離脱で迫られる「取扱注意」ベテラン2人の起用法…小久保監督は若手育成「撤回宣言」

  3. 8

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  4. 9

    巨人・坂本勇人2.4億円申告漏れ「けつあな確定申告」トレンド入り…醜聞連発でいよいよ監督手形に致命傷

  5. 10

    阪神・藤川監督が酔っぱらって口を衝いた打倒巨人「怪気炎」→掲載自粛要請で幻に

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  4. 4

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  5. 5

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  1. 6

    おすぎの次はマツコ? 視聴者からは以前から指摘も…「膝に座らされて」フジ元アナ長谷川豊氏の恨み節

  2. 7

    大阪万博を追いかけるジャーナリストが一刀両断「アホな連中が仕切るからおかしなことになっている」

  3. 8

    NHK新朝ドラ「あんぱん」第5回での“タイトル回収”に視聴者歓喜! 橋本環奈「おむすび」は何回目だった?

  4. 9

    歌い続けてくれた事実に感激して初めて泣いた

  5. 10

    フジ第三者委が踏み込んだ“日枝天皇”と安倍元首相の蜜月関係…国葬特番の現場からも「編成権侵害」の声が