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山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

巨大な暴れ馬! 阪神・藤浪晋太郎に感じるヒールスター性

公開日: 更新日:

■個人的には「これでこそ」

 相手チームの選手やファンは本当にイヤだろうなと思う。自軍の選手が死球でケガをする危険性を常に抱えているわけだから、ともすれば憎しみに近い目で藤浪を見ることもあるだろう。味方の野手陣だってそうかもしれない。かつての野茂英雄もそうだったが、四死球を連発する暴れ馬が投げているときは、守備の時間が長くなってリズムが狂うとよく言われる。

 しかし、そういう直接的な利害関係者には申し訳ないが、個人的には「これでこそ藤浪」「さすが藤浪」といった賛辞を贈りたい。先日のヤクルト戦での藤浪が、以前とちがって終始ふてぶてしい表情を見せていたことにも頼もしさを感じた。死球を与えてブーイングされても平気。帽子をとって謝罪さえすれば、あとはどこ吹く風。制球を乱して満塁のピンチを背負っても平気。後続を断てば問題なし。援護がなければ自分でホームランを打つ。制球力が売りの小柄なベテラン左腕・石川雅規の老獪な投球には、巨大な暴れ馬のフルスイングが一番脅威だろう。

 藤浪にはそういう憎たらしい存在、いわゆるヒールスターになれる素養がある。死球や暴投で嫌われ、スキャンダルやコロナ問題で叩かれ、世間を騒がせまくっては、だけどマウンドに立てば相手チームやファンから恐れられる。昨今のポリコレ時代とはあまりに相性が悪いのだが、その相性の悪さこそが藤浪の魅力であるとも言える。

 だから、私は西勇輝秋山拓巳の登板時よりも藤浪の登板時に心が躍ってしまう。スター性とはこういうことだろう。

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