組閣難航する巨人原“全権”監督の嫌われ方…石井・片岡両コーチは逃げ出し、仰天招聘プランも頓挫した
巨人に在籍した石井琢朗三軍野手コーチ(51)と片岡治大三軍野手総合コーチ(38)が今季限りで退団する。本人から申し入れがあり、球団が了承した。その石井コーチは来季、古巣DeNAの一軍首脳陣として入閣するという。
石井コーチは現役時代、横浜(現DeNA)、広島で通算2432安打を放った。守備でも三塁、遊撃を合わせて4度のゴールデングラブ賞を獲得。3年連続を含む盗塁王4度の実績もある。コーチとしては2012年から17年まで広島、18、19年はヤクルトで一軍打撃コーチなどを歴任。広島時代は丸や鈴木の打撃指導に当たり、球界を代表する打者に押し上げた。さらに丸、田中広を盗塁王に育て、名手・菊池涼の守備力アップもサポートした。
ヤクルトでは打撃改革を実行。今季の本塁打王・村上を台頭させるなど、指導の手腕を買われて巨人入り。20年から一軍野手総合コーチを務め、ベテラン・中島を再生させ、選手からの信頼も厚かった。しかし、今季は後半戦からベンチ入り登録を外れ、10月5日には三軍野手コーチに配置転換となっていた。
石井コーチ三軍配置転換で10連敗
さる球界関係者がこう言う。
「球団が石井コーチをヤクルトから引き抜いたのは、打撃、守備、走塁、全ての面で手腕を発揮して欲しかったから。それなのに、原監督は『何か新しいことは必ず後藤(野手チーフコーチ)を通してやるように』とくぎを刺して自由に指導させなかった。はっきりモノを言うコーチとして3球団を渡り歩いてきた人だけに、原監督にも臆せず意見をしていた。今の首脳陣は“全権”監督の顔色をうかがうばかりで意見するコーチはいない。だからこそ、石井コーチは選手から信頼されたが、案の定、にらまれてしまい、10月5日に三軍野手コーチに異動となり、その日から巨人は10連敗。シーズン中の明らかな“左遷”だけに、慕っていた選手たちが反発した結果ではないかと、見る向きもあったほどです」
全権監督の独裁が始まって3年。石井、片岡両コーチは本人から退団を申し入れている。原監督の恐怖政治は球界で広く知れ渡っており、外部から大物を招聘しようにも、逃げられる事態が相次いでいるという。
前出の球界関係者がこう言った。
「原監督の続投が決まって逃げ出すコーチもいるということ。外から呼んだ石井コーチが2年で退団したことで、図らずも原監督の下でコーチをやることの大変さが証明された。続投といっても、2、3年後には阿部を筆頭候補とした若い世代に禅譲するわけで、借金1で3位に沈んだ泥舟に乗るのは避けたいと、巨人OBからも何かと理由をつけられ、入閣要請を断られる事態が相次いでいるようです。断る理由をつくるため、アマチュアの指導を始めたOBもいるくらい」
三軍監督候補に高校野球の元監督
そんな中、原監督発案の仰天招聘プランも頓挫していた。甲子園通算4度の優勝を誇る東海大相模の監督を今夏限りで退任した門馬敬治氏(51)である。
東海大の関係者がこう言った。
「原監督は東海大相模出身。門馬監督は首などの体調面の不安を理由に辞めたことになっているが、実際は学校側との対立でケツをまくったのが本当の理由。そんな門馬氏を巨人の三軍監督に呼ぼうとしたのです。原監督は東海大の客員教授でもあり、東海大グループの人事にも大きな影響力がある。高校球界では『名将』と呼ばれても、プロ経験者ではないこともあり、門馬氏は原監督のオファーに恐縮しながらも、さすがに固辞したそうです」
複数部員による大麻使用が発覚した東海大野球部の監督を引責辞任していた安藤強氏(57)を今年2月、球団の「社長付編成アドバイザー」として採用したのも原監督だ。東海大OBでアマ球界に幅広い人脈を持つ安藤氏の招聘により、スカウト網を強化する狙いがあるとはいえ、引責辞任したばかりの人物を入れることに、球団内に批判の声がなかったわけではない。
こんなやりたい放題の体制が続く限り、来季の組閣も簡単に進まなくて当然である。
今年9月まで「野手総合」担当だった石井コーチには、坂本、岡本和、丸らの弱点やチームの内部事情を知られている。巨人は今季DeNAに12勝6敗7分けと“唯一”勝ち越したが、どこからも貯金が稼げなくなれば、暗黒時代に突入する可能性もありそうだ。