プロ野球界で目下の最大の話題 新庄剛志監督の本当のところと落合博満の沈黙
だからなのか、プロ野球OBの方々が語る新庄監督評も、今のところ現役時代の裏話や意外な素顔といった人柄に関するものが多い。それも「ああ見えて野球に熱心で真面目だった」「ああ見えて練習の鬼だった」「ああ見えて礼儀正しかった」など、類型的な不良イメージがみんなに共有されているという前提で、それを覆す論調が中心だ。
一般的にこの手の論調では、「真面目」「練習の鬼」「礼儀正しさ」などを測るハードルが、「ああ見えて」の前提を失ったときよりも低くなる傾向がある。不良が捨て猫を拾うと、そうでない人が捨て猫を拾うよりも、より優しさを感じやすいという、ありがちな心理効果も見え隠れする。
■途端に歯切れが悪くなり…
そんな中、去る年末に放送された(在阪局の)MBSラジオ「MBSベースボールパーク番外編~落合博満×掛布雅之 THE・野球談議」での落合氏の発言は興味深かった。それまで自身の現役時代や、中日監督時代にチームに課した圧倒的な練習量についての思い出を冗舌に語り、こと練習量に関しては強烈なプライドを感じさせていた落合氏が、新庄監督の話題となり、定番の「彼はああ見えて練習の鬼だった系の話」を振られた途端、急に歯切れが悪そうに沈黙したのである。
あの舌鋒鋭い落合氏にしては珍しいシーンだった。結局、番組内で新庄監督について発した言葉は「やってみないとわからない」の一言のみ。あのとき、落合博満の心の中ではどんな言葉が渦巻いていたのだろう。