全豪OPついに開幕…政治まで絡んだ「ジョコビッチ事件」の真相はヤブの中
■診断書は簡単に手に入る
この上げ潮にコロナは大きな障壁になった。トップ選手が遠い南半球への遠征をためらえば、たちまち閑古鳥が鳴く昔に逆戻りする。今年はフェデラーが欠場、ナダルは故障明け、メドベージェフら若手ロシア勢の知名度はイマイチ。女子も、大坂なおみはメンタル問題を抱え、地元のバーティーは昨年9月から休んで……頼みのジョコビッチの突破口がワクチン接種免除の特例措置だった。
半年以内の感染者へのワクチン免除という特例に大会本部、州政府は欣喜雀躍。ジョコビッチは20年6月に自身が主催したチャリティー大会で感染したことを公表しているが、昨年12月にも感染していたのだとか。
今回の“事件”の根っこは、どの国も頭を悩ます感染と経済問題、だから政治まで絡んだ。国内の不満が爆発するや、5月に総選挙を控えるモリソン首相が有名人への特別扱いを否定。州と国が対立する中、裁判所は入管所の対応不備を根拠に入国を認めた──。
セルビアにとって、ジョコビッチは長嶋茂雄、イチロー、いやそれ以上の国民的ヒーローだ。診断書は簡単に入手できるだろうから、真相はやぶの中。昨年暮れには中国の女子選手、彭帥をめぐる人権問題もマスコミを賑わせたばかり。社交界から発展したテニスではゴシップ、スキャンダルも大事な人気要素だが、感染問題だけに、今回はそうも言っていられない。