IOCバッハ会長の猿芝居に正体見たり 中国テニス選手の性的暴行“もみ消し”加担で五輪は死んだ

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 おめでたい人たちだ。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は21日、元共産党幹部からの性的暴行を告発した直後から消息が不明の女子テニス選手、彭帥(35)とテレビ電話で会話したと発表。「彼女は北京の自宅で安全に元気で生活している」と語ったという。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは翌22日、バッハ会長の言動に対し、「中国政府のプロパガンダに加担してはならない」と批判する声明を出した。五輪憲章は人権についても触れているが、このご仁はお忘れのようだ。

 日本在住の元中国籍の経営者も呆れ顔で言う。

「バッハを担ぎ出しても彭帥の肉声を公の場で聞くことができなければ、本当に身の安全が確保されているのかわからない。仮にバッハと話したのが本人であっても、彼女の家族が人質にとられているかもしれない。人権なんて、これっぽちも頭にない中国共産党のこと。彭帥に『SNSへの告発は私が投稿したものではない』と言わせるぐらい容易なことです。それにしても、数年前のものと思われる彭帥の写真や動画を世界に見せて、五輪開催で利害が一致するIOC会長は猿芝居に出演。これで疑惑が払拭できると本気で思っているとすればお笑いですよ」

■外交的ボイコット、人権団体の厳しい声

 世界を震撼させ、約516万人もの命を奪った新型コロナウイルス。発生源と疑われたのが中国湖北省武漢市だ。中国は当初、世界保健機関(WHO)による調査の受け入れを拒否。調査への協力が不十分で透明性に問題がありながら、世界の疑惑追及から逃げ切った感もある。

 だが、今回は元政府要人が絡む性的暴行、軟禁疑惑という人権問題だけに、事件の幕引きは容易ではないだろう。米英両国はすでに、中国の新疆ウイグル自治区での人権侵害や香港での民主派弾圧を理由に政府使節団を北京冬季五輪に派遣しない「外交的ボイコット」を検討中。テニス界や世界の人権団体も中国の対応に厳しい声を上げている。開催まで3カ月を切った北京五輪はもちろん、その後の大会への影響も懸念される。

 五輪に詳しいスポーツジャーナリストの谷口源太郎氏が言う。

「コロナ禍で行われた東京五輪がそうだったように、五輪はとにかく開催ありきです。このイベントは市民のためでもなく、『アスリートファースト』もお題目にすぎない。選手たちは政治的、経済的に商品化されていることが改めてわかったのが東京大会だった。コロナ禍という前例のない大会の総括や検証は今も行われていません。世界を見れば競技人口が少なく開催地も限られる冬季五輪については否定的な意見が多く、開催に手を挙げた国でも、国民の反対によって取り下げるケースも多い。夏季五輪も東京大会が多大な損失を被り、世界の支持はますます低下する。今回の女子テニス選手の一件は、その動きに拍車をかけることになるでしょう」

72年大会の自然破壊

 莫大な費用がかかり、開催意義も見いだせないビッグイベントに、欧米では冷ややかな目が向けられている昨今。日本は2030年に、札幌冬季五輪の招致に動き始めている。

「1972年の札幌五輪で恵庭岳のエゾマツなどの原生林は広範囲にわたって伐採された。自然破壊の傷痕が今も深く残っているのに、札幌駅前の再開発、北海道新幹線の札幌延伸を30年札幌五輪につなげたい。北海道経済を活性化するのが目的です。札幌市は市民・道民の目を五輪に向けさせるため、既存施設を利用するなど、安上がりの大会をアピールすることになるでしょう。同時に札幌招致のためにバッハ会長にペコペコ頭を下げることになる。五輪は誰のために行うのか、継続開催するべきものなのか、アスリートや国民は真剣に考えるべきです」(谷口氏)

 30年冬季五輪開催地は23年に決定するが、五輪はこりごりという国民も少なくないはずだ。 

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