ヤクルトがオープン戦最下位…昨季日本一球団を苦しませる優勝の副反応
ヤクルトの高津臣吾監督(53)の気持ちが分かる。オープン戦8試合を終えて、白星1つの最下位。9日の楽天戦は高卒2年目捕手・内山壮真のソロ本塁打で、4度目のゼロ封負けを免れるのが精いっぱいだった。
昨年は前年最下位から日本一。旋風を巻き起こしたが、高津監督は春のキャンプ中から「今のままでは勝てない」「もっと底上げがしたかった」「これで開幕したら大変なことになる」と危機感を口にしていた。
私が監督を務めた1999年のベイスターズがそうだった。前年の98年にリーグ優勝、日本一。連覇を狙ったが、首位に10ゲーム差の3位に終わった。思えば、キャンプの時から「これはイカンぞ」と嫌な予感がしていた。選手の動きが硬い。打者はフリー打撃で、投手はブルペンで、自分の打球、投球に首をひねる姿があった。自分の気持ちと打球、投球が一致せず、ん? あれ? こんなはずじゃないよな……そんな戸惑いが開幕を迎えても、消えないような感じだった。
勢いのままチーム38年ぶりの頂点に駆け上がった選手は、それまで優勝争いの経験すらほとんどなかった。勝つごとに勢いを増し、気持ちはどんどんハイの状態に。疲れを口にする選手はいなかった。こちらはコンディションにことさら気を使って起用したつもりでも、体は疲弊していて当たり前。優勝争い、ペナント制覇には大きなエネルギーを使うのだが、快進撃に気持ちが高揚している選手にその自覚がない。それを、99年シーズンに引きずった。