ロッテ佐々木朗希が海を渡る日 完全試合達成でメジャー行きは最短で2023年オフにも

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「令和の怪物」がプロ3年目にしてついに覚醒した。

 10日のオリックス戦で史上最年少で完全試合を達成したロッテの佐々木朗希(20)。最速164キロの速球と140キロ台後半のフォークを中心に、プロ野球新記録となる13者連続三振を奪うなど、相手打線を完璧に封じた。

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 伸びしろも十分にある。今回の完全試合がプロ初完投だったのも驚きだが、本人は試合後、「心をコントロールしながら、最後まで投げ続けることができた。脱力しながらストライク先行で投げることができた」と発言。力の入れ具合を「7~8割」で制御しながら164キロを投げているというのだから、末恐ろしい。動作解析の第一人者である筑波大野球部監督の川村卓氏は11日付のスポーツニッポンで「170キロを投げても不思議ではない。やろうと思ったら早い段階でできる。あとは本人がやろうとするかだけじゃないかと思います」とコメントしている。

■大船渡時代から米球界垂涎、「価値は10年100億円以上」

 そんな佐々木を巡っては、海の向こうの米国でも大騒ぎ。メジャー全30球団のGM、編成幹部クラスは早くも、動向を注視しているという。

「メジャーは日本のプロ野球よりも前から、彼に目をつけていました」

 とは、アマ球界関係者。

「公立の大船渡高は野球強豪校ではなく、プロ野球のスカウトは入学当初はそれほど熱心ではなかった。しかしメジャーの複数球団は、佐々木が高校1年の時からチェックをしていました。アスレチックスやパドレスをはじめ、多くのメジャースカウトが大船渡高校へ足を運んだ。米国から編成幹部がわざわざ来日して、チェックした球団もありました。ただ、佐々木は『高卒即メジャー』に対して慎重だった。ゆくゆくはメジャーでプレーしたい気持ちはあっても、まずは日本のプロ野球で力をつけたいという意志が強かったのです」

大谷翔平のエンゼルスも高評価

 佐々木がメジャー30球団に強烈なインパクトを与えたのは、高校3年時のU18W杯(韓国)だった。試合での登板は1試合にとどまったが、ブルペンで剛速球を連発する姿に、ナ・リーグ球団の国際担当スカウトは、「(日米スカウト間の)紳士協定がなければ、すぐにでも連れて帰りたい」と興奮気味に語っていた。同じくネット裏にいた、大谷翔平が所属するエンゼルスの国際アシスタントディレクターも、「肩幅が広く背も高い。柔軟性に富み、腕の振りがとてもしなやか。現時点でもキレがあるし、パワーもある。彼が成長し、次のレベルに到達した姿を我々は注視することになる」と、高評価だった。

 高校時代からポテンシャルはメジャー級だった佐々木はプロ入り後、体幹トレーニングなどで肉体を強化。160キロ超のストレートにも耐えうる体に成長し、「次のレベルに到達」したのは間違いない。米球界関係者は「現時点で『10年100億円以上』の価値はある」と断言する。

■早い段階でチャレンジ

 米球界OBは、「佐々木本人がメジャーでもやれる自信をつけ、ロッテが移籍を容認することが前提ですが、仮に今すぐポスティング申請をしても、全30球団が手を挙げるのは確実」と、こう続ける。

「佐々木は高校3年時のプロ球団のスカウトとの面談時に、将来的な米球界移籍について質問され、『行きたい気持ちはある』と伝えています。プロ入り後の成長次第では、早い段階でメジャー挑戦したい意思がある、と受け取った球団もある。25歳以下でメジャー挑戦した場合はマイナー契約になりますが、最短で来年23年オフの移籍を想定しているメジャーの球団もあると聞いています」

 来春にはWBCの開催が予定されている。佐々木がこのまま順調にいけば、侍ジャパン入りは確実視されている。過去にメジャー挑戦した選手がそうだったように、海外の選手と対戦し、メジャー志向が強い日本トップ選手と同じ釜の飯を食べることで刺激を受け、「より高いステージでプレーしたい」とメジャー熱が一層、高まる。

「今季から2年連続で圧倒的な成績を残せば、ファンやメディアの間でも『メジャーでの活躍が見たい』『メジャーへ行かせてやれ』というムードが高まるでしょう。過去に西岡剛らポスティングを容認してきたロッテも、しかるべきタイミングで夢を後押しする方針です」(前出のOB)

「令和の怪物」が海を渡る日は、そう遠くはなさそうな気配だ。

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