巨人球団史上“最速”自力V消滅で問われる原監督の重大責任…それでもあと2年続けるのか
球団の長い歴史上、「最速」だそうだ。
26日に自力優勝の可能性が消滅した巨人。2リーグ制後、自力Vが6月中に消滅したのは、2003年6月27日の1度しかない。日付では2リーグ制後の最速消滅の赤っ恥に、原辰徳監督(63)は「やっぱりベストを尽くすだけだから」と言うしかなかった。
■ヤクルトとの差を縮める材料が見当たらない
首位ヤクルトとの24日からの3連戦がヤマだった。初戦は13年ぶりの16失点を喫する歴史的惨敗。2戦目は12年ぶりの6本塁打で3年ぶりの19得点を奪ったものの、3戦目はノーガードの打ち合いとなって10-11。1勝2敗に終わった。この3連戦でヤクルトの主砲・村上に3発を浴び、計9打点を許した。三冠王も視野に入れる昨季のセ・リーグMVP男にめった打ちにされ、ゲーム差は再び11に開いた。
巨人は5カード連続の負け越しでジワジワと後退し始めている。交流戦はチーム打率、防御率ともに12チーム中11位。交流戦中の救援防御率は4.89と投手陣が崩壊した。リーグ戦が再開した後も状況は変わらず、27日現在、防御率は3.87で救援は4.11。守護神・大勢につなぐ八回のセットアッパーが定まらず、26日に平内が村上に3ランを浴びたように、終盤に競り負ける試合が多い。
巨人OBで元投手コーチの高橋善正氏(評論家)がこう言った。
「原監督がリーグ戦再開後のカンフル剤として二軍から呼び戻したのが中田とビエイラだった。その助っ人は八回に試合を壊して、あっという間に二軍に送り返された。中田にしても、今季すでに2度も二軍落ちを命じているベテランで、原監督はもう打つ手がないのだということが分かる。正直、ヤクルトとの差を縮めていく材料が見当たりません」
そのヤクルトは14日、契約最終年の高津臣吾監督(53)と2年間の契約延長に合意したと発表した。交流戦を14勝4敗の高勝率でパ・リーグ全6球団に勝ち越す完全優勝を飾った直後のタイミング。衣笠剛球団社長兼オーナー代行は「高津監督には今シーズンのさらなる活躍と、数年後を見据えた選手育成、チームづくりに期待しています」とコメントした。
ヤクルトOBで1998年の沢村賞投手・川崎憲次郎氏(評論家)がこう言った。
「4月は中村、奥川、サンタナといった主力を欠いていたが、長岡や内山壮ら若手を積極的に抜擢し、経験を積ませながら白星も積み重ねた。選手のマネジメントにたけており、『リリーフ投手に3連投をさせない』などは、今や球界のスタンダードになっています。若手を育てながら勝っているのだから、巨人や他球団も見習うところは多いと思います」