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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

来季「フィールド・オブ・ドリームス・ゲーム」見送りに透けるMLBのしたたか興業戦略

公開日: 更新日:

 現地時間の8月11日、アイオワ州ダイアーズビルで「フィールド・オブ・ドリームス・ゲーム」が行われた。

 ヤンキースとホワイトソックスによる昨年の第1回につづき、今回はレッズとカブスが対戦し、4対2でカブスが勝利を収めた。1998年以降に行われた大リーグのレギュラーシーズンの試合の中継として過去最高の視聴者数を獲得した昨年には及ばなかったものの、FOXスポーツのテレビ中継を約310万人が視聴しており、依然として人々の関心が衰えていないことを示している。

 両チームとも袖を通すのが真っ白なユニホームであることや、試合の“原典”である1989年の映画「フィールド・オブ・ドリームス」を連想させるトウモロコシ畑の隣に立つという球場の姿は、人々が漠然と思い描く「古き良き時代の野球」を現代に再現するための優れた仕掛けだ。

 一方、こうした特徴は、「フィールド・オブ・ドリームス・ゲーム」の魅力であるとともに、弱点でもある。特に客席数を含む球場の設備は大きな問題となる。

「フィールド・オブ・ドリームス・ゲーム」への注目度や、専門誌「スポーツ・ビジネス・ジャーナル」の2021年最優秀スポーツイベント賞の候補になるといった話題性の高さは、大リーグ機構にとって入念な宣伝戦略が奏功された形であった。

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