著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

外様から地元へ…若生正広が切り開いた、宮城の野球の「新たな可能性」

公開日: 更新日:

 東北と仙台育英の2強時代はそれぞれ不祥事を交えながら続いた。保守の東北に対し、育英の校風は革新的で全国高校駅伝で史上初の男女優勝を果たしている。ケニア留学生を真っ先に導入した同じ流れに、竹田獲得の道筋もあっただろう。もはや“外様”は現れないが、不思議な置き土産があった。

 ◇  ◇  ◇

「あばい!」

 ダルビッシュ有が3年の春。インタビューを終えた翌朝、授業の様子を見せて欲しいと再び東北高を訪ねると、監督の若生正広は、サウナに行けなくなったべと言いながら教務課の許可を取ってくれた。編集者とカメラマンは何を言われたのか分からずに、ボーッと立っていた。

「あばい! ったら」

 “あばい”は「行こう」、“あべ”は「行くぞ」。古文の授業の前列では宮里藍がノートを取り、窓際のダルビッシュは外を眺め、教室は深い眠りにあった。

 若生3兄弟の末弟で、兄は大毎-阪神で活躍した若生智男だ。竹田が甲子園初出場した68年時の4番でリリーフ登板もしている。法大からメーカーの営業、埼玉栄監督を経て93年に母校の監督に就任した。幅広く野球を知り、末っ子の人懐こさとズカズカと仙台弁丸出しのおおらかさは、ジェントルマン然とした竹田とは対照的だ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元グラドルだけじゃない!国民民主党・玉木雄一郎代表の政治生命を握る「もう一人の女」

  2. 2

    深田恭子「浮気破局」の深層…自らマリー・アントワネット生まれ変わり説も唱える“お姫様”気質

  3. 3

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  4. 4

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  5. 5

    東原亜希は「離婚しません」と堂々発言…佐々木希、仲間由紀恵ら“サレ妻”が不倫夫を捨てなかったワケ

  1. 6

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    “令和の米騒動”は収束も…専門家が断言「コメを安く買える時代」が終わったワケ

  4. 9

    長澤まさみ&綾瀬はるか"共演NG説"を根底から覆す三谷幸喜監督の証言 2人をつないだ「ハンバーガー」

  5. 10

    東原亜希は"再構築"アピールも…井上康生の冴えぬ顔に心配される「夫婦関係」