著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

仙台育英 東北勢初の甲子園制覇の裏…武田利秋が導いた「ええべ根性」からの脱却と大谷効果

公開日: 更新日:

 東北弁で「嫌だ」を「やんだ」と言う。「雨がやんだらお別れなのね」という流行歌に「雨が嫌ならお別れね」と謎の設定が錯綜した昔を思い出した──仙台育英が東北勢として初めて甲子園を制覇。試合後のインタビューで、選手の受け答えがしっかり、はっきりしているのに驚いた。かつてこうではなかった。

 学制改革で全国中等学校優勝野球大会が全国高等学校野球選手権大会となった1948年、組み合わせ抽選で宮城・石巻が1番クジを引いた。1番の主将が選手宣誓するのだが、予行演習で「出場選手宣誓」と切り出すと、どっと笑いが起きた。どうしても「スツゾウスンス」となまり、笑われ、緊張して言葉が続かず、初めて宣誓文を読む措置が取られた。石巻はいきなり3点を奪われ敗れた。

 今回、仙台育英の決勝進出は東北勢としては10度目だった。いまや新幹線で東京-仙台間は1時間半。関所もないのに、春も夏も、優勝旗は白河以北に届かなかった。見えない壁があったのだ。竹田利秋(現国学院大学総監督)の顔が浮かぶ。

 竹田は和歌山出身だ。国学院大を出て郷里に帰るつもりが、東北高校の監督だった先輩に呼ばれて仙台に行ったのが運のつき。コーチとして残ることになり、65年から30年、悪戦苦闘した。郷里で見たこともない雪に覆われたグラウンド。一人でガソリンをまいて焼く姿を、みんな土手から見ていた。春夏合わせて17回、甲子園に出場し、こんなことを口にしていた。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    巨人のW懸案「ポスト岡本和真&坂本勇人」を一気に解決する2つの原石 ともにパワーは超メジャー級

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希「負傷者リスト入り」待ったなし…中5日登板やはり大失敗、投手コーチとの関係も微妙

  3. 3

    巨人「松井秀喜の後継者+左キラー」↔ソフトB「二軍の帝王」…電撃トレードで得したのはどっち?

  4. 4

    巨人秋広↔ソフトBリチャード電撃トレードの舞台裏…“問題児交換”は巨人側から提案か

  5. 5

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  1. 6

    阿部巨人が企む「トレードもう一丁!」…パ野手の候補は6人、多少問題児でも厭わず

  2. 7

    佐々木朗希が患う「インピンジメント症候群」とは? 専門家は手術の可能性にまで言及

  3. 8

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  4. 9

    佐々木朗希「中5日登板志願」のウラにマイナー降格への怯え…ごまかし投球はまだまだ続く

  5. 10

    佐々木朗希「限界説」早くも浮上…案の定離脱、解説者まで《中5日では投げさせられない》と辛辣

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「餅」で尿意ストップ! 映画の途中にトイレで席を立ちたくないなら

  2. 2

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  3. 3

    永野芽郁は映画「かくかくしかじか」に続きNHK大河「豊臣兄弟!」に強行出演へ

  4. 4

    阿部巨人が企む「トレードもう一丁!」…パ野手の候補は6人、多少問題児でも厭わず

  5. 5

    永野芽郁&田中圭の“不倫LINE”はどこから流出したか? サイバーセキュリティーの専門家が分析

  1. 6

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  2. 7

    気持ち悪ッ!大阪・関西万博の大屋根リングに虫が大量発生…日刊ゲンダイカメラマンも「肌にまとわりつく」と目撃証言

  3. 8

    広島新井監督がブチギレた阪神藤川監督の“無思慮”…視線合わせて握手も遺恨は消えず

  4. 9

    自民にまた「政治とカネ」問題!太田房江氏に選挙買収疑惑、参院選公認めぐり大阪でグチャグチャ泥仕合

  5. 10

    イケイケ国民民主党に陰り? 埼玉・和光市議補選は玉木代表が応援も公認候補まさかの敗北