日本シリーズで垣間見えた「監督かくあるべし」目立たず脇役に徹する
「……良い夜空でした」
おい、オリックスの中嶋監督は寡黙な詩人のようだな。わしゃいっぺんに贔屓になってしもうたぞ。かたや負けた監督も、神宮の満員の観客の前へ整列して、深々と神戸を垂れ、もとい、コウベを垂れ、静かに涙を拭った。これも良かった。惜しみない拍手の先、日々重い自転車で街々を経巡るヤクルトおねえさんの労苦にまで思いを馳せたのだ。これも良い。両監督とも目立たない。これが野球だ。
聞くところによると、中嶋監督は記者泣かせで通っている。人に好かれたいとは思ってないらしい。エースの山本由伸が途中交代して今はどんな具合なのか聞かれても「知らないよ、俺医者じゃないんだから」と答えた。聞いてる記者としては「そりゃそうだろうけれどもサ、現場を預かる責任者として、取材に答える義務はないのかよ」とイラつくこともあるらしい。無理もないが、余計なことまでベラベラしゃべりまくるよりはいい。
■あくまで「ジャーマネ」
いくら日本一になったからといっても「中嶋バファローズ」とは呼ばれない。セ・リーグの覇者も「高津スワローズ」とは呼ばれない。日本一になった途端、「名将」という冠がかぶせられるだろう。そんなものはすぐさま脱いでゴミ箱に捨てるがよい。野球の始まったアメリカでは監督は「チームマネジャー」と呼ばれている。芸人などはこれをひっくり返して「ジャーマネ」と呼ぶ。あくまで主役は舞台に立つ者、漢字表記すれば「邪~魔ね」。ご参考になさってくださいファイターズの監督サン?