混迷した下院議長選挙に思うこと…大リーグの労使交渉は対立しながら傷を最小限度にとどめる
新たに招集された米国連邦議会下院では、歴史的な出来事が起きた。
議長の選出が1回で終わらず、15回目で共和党下院院内総務のケビン・マッカーシーが当選した一件である。
共和党は昨年11月の連邦中間選挙で下院の多数派となった。
そして、その下院共和党の代表者がマッカーシーなのだから、順当にいけば1回目の投票ですべてが決まるはずだった。しかし、共和党内の最強硬派がマッカーシーを妥協的すぎると批判したことで事態は紛糾し、1923年以来の複数回の投票となったばかりでなく、最終的に1860年代以降では最多の15回に及ぶ投票が行われることになった。
1859年には44回目の投票で議長が選出された事例があったとはいえ、100年ぶりに1回の投票ですべてが決まらなかった点に現在の共和党内の混迷のほどがうかがわれる。
何より、造反した議員の多くが、依然として共和党に強い影響力を持っている前大統領のドナルド・トランプの系列に属する議員だっただけに、2024年の大統領選挙への出馬を目指すトランプにとっても、今回は自らの威信が傷つけられる結果となった。