女子やり投げ北口榛花、男子走り幅跳び橋岡優輝…日本陸上トラック&フィールドはなぜ急成長した
DA出身ではないが、黒人選手のほぼ独壇場となっているトラック種目でメダルが狙える110メートル障害の泉谷駿介(23)にしても、順大時代に指導した越川一紀氏(順大陸上部顧問)は、「今季の成長は海外試合の経験が大きい」と言う。
「私は1976年モントリオール五輪(走り高跳)に出場したが、海外遠征はそれが3回目でした。以前の陸連は国際大会に派遣する選手をかなり絞っていた。最近は若い選手の遠征を後押ししてくれる。泉谷がDLに参戦できたのも陸連のおかげです。泉谷は今季だけでも世界陸上を連覇したG・ホロウエイと3度対戦した。世界のトップと競うことで相手の実力がわかるし、それに対する課題もみえてくる。何度も対戦していれば試合での緊張感も軽減されます」
前出の小山氏も同意見だ。
「ハンマー投げの室伏広治がアテネ五輪で金メダルを取ったのも海外経験が生きた。日本にいれば常に優勝して上が見えない。海外に出れば負けることも多いので、勝つことより記録を狙うように考えが変わった。逆に、09年の世界陸上やり投げ決勝で82m97を投げて3位になった村上幸史は海外が嫌いだった。五輪・世陸を通じてこの種目で日本人では初のメダリストになったが、海外試合を数多く経験していていればもっと上を狙えた」