大リーグ選手会副委員長ブルース・マイヤーの解任問題は今後の労使交渉を左右する
今年3月、大リーグ選手会の一部の執行役員が、副委員長のブルース・マイヤーの解任と元選手会の弁護士であったハリー・マリノの起用を、委員長のトニー・クラークに求めた。
マイヤーは2018年にNHL選手会から移籍し、選手会の副委員長に就任。新型コロナウイルス感染症の感染が拡大した20年には、選手会の責任者として経営者側との交渉に臨み、経営者側の案を拒否。日割り計算で年俸の60試合分の金額を勝ち取った。
21年オフの労使協定の改定の際には経営陣による施設封鎖を受けながら、最低年俸額の引き上げやぜいたく税の上限額の引き上げなど選手側に有利な条件での妥結を導いた。
球団経営者に対する強硬な姿勢と妥協を排した交渉から、マイヤーはしばしば好戦的と称される。
そのようなマイヤーが招聘されたのは、13年に委員長となったクラークが交渉事を得意としておらず、16年オフの労使交渉でも経営者側に有利な内容を受け入れたという過去があるためだった。すなわち選手の一部から、クラークはあまりに妥協的であり、解任を画策する動きがあったのである。