野球賭博で永久追放ピート・ローズの意外な素顔…酒、たばこどころか、自分の顔がラベルのソーダ水も飲まず
だが、レッズの監督在任中に自らのチームを対象として野球賭博を行っていたことが発覚し、1989年に球界から永久追放となったことで、ローズは野球人としての名声を失う。
当然と思われていた野球殿堂への選出は、処分によって資格を喪失している。コミッショナーが交代するたびに処分の解除を求める書簡を送り、「自分にとって野球殿堂が何であるか毎日考えている」と名誉の回復を渇望する気持ちを書き記したものの、生前にはいずれも実現しなかった。
殿堂入りした選手の中には「彼が選ばれるなら自分は殿堂を出る」という者もいたのだから、ローズの復権は非現実的であった。
さらに、イチローが2016年に日米通算4257安打を記録した際や今年3月に大谷翔平(ドジャース)の元専属通訳による違法賭博問題が発覚すると、報道陣の取材に対して「日米合算に意味はない」「1970、80年代に通訳がいれば無罪放免だった」と発言しており、ローズの奔放ともいえる態度が注目されることになった。
ただ、出身地シンシナティで経営していたレストランで、従業員が「ハッスル 14」と自らのアダ名と背番号を染め抜いた制服を着ていたのは、著名な選手が過去の名声に頼った結果ではなかった。むしろ、野球そのものへの愛情の強さと、野球こそが存在意義を証明するものであるというローズの変わらぬ姿を示していた。