《佐々木誠の巻》細かい気遣いと面倒見の良さが随一の兄貴分…首位打者争いでは逆に僕が気負って円形脱毛症になった
走攻守の三拍子を兼ね備え、主にホークスと西武で活躍した佐々木誠さん(59)。ホークス時代は門田博光さんを慕い、打撃フォームを真似ていたほどです。
「俺はバッティングの調子が悪くなると、グリップの位置が耳あたりに来るようにしてるんや」
と言うので、「なんでですか?」と聞くと、「門田さんを見てみい」。門田さんは長距離砲で、誠さんは20本塁打を打った年もありますが、中距離タイプの巧打者。それでも門田さんのフォームを「意識すると打てるんや」と言っていました。
当時は「メジャーに一番近い男」と言われていましたが、実際にメジャーから誘いの声もあったと本人から聞きました。日米野球に出場した際は、ドジャースの大エース、ハーシュハイザーからホームランを打ったこともある。もっとも、誠さんは本塁打よりも、凡打に抑えられた悔しさの方が勝ったようで、「センター前に運んだと思った打球が、ボテボテのセカンドゴロだった」と力負けを告白。その直後くらいから、上腕を鍛え出しました。
そんな誠さんですが、細かい気遣いと面倒見の良さには、何度もお世話になりました。打撃投手時代のある時、「飯食いに行こうぜ」と誘ってもらったものの、僕はちょうど肘を痛めていました。ケガをしている時に飲みに出るのは本来禁止ですが、誠さんは僕の気晴らしになると思ったのでしょう。「球団にはオレの方から言っておくから」と、そこまでフォローしてくれるのです。