日本球界からの「クーパーズタウン第1号」は400勝ボール…"黄金の左腕”はまさかの招待に頬をつねった
イチローの大リーグ殿堂入りはビッグニュースとして大々的に扱われた。日本の殿堂入りも果たしているからダブル当選。ご同慶の至りである。
けれども、だ。ニューヨーク州郊外のクーパーズタウンに立つ大リーグの野球殿堂に、日本球界から最初に入ったのは、使い古した1つのボールだった。それは“黄金の左腕”の異名をとる金田正一が400勝を達成したときのボールである。
最初のロッテ監督になって3年目の1975年1月、クーパーズタウンから招待状が届いた。
「400勝を挙げた貴殿の偉業を表彰したいので、パーティーにぜひ出席されたし」
記録男がびっくりした。ホンマかいな、と頬をつねったそうである。ボールを入れたアタッシェケースを右手に持って羽田空港に姿を見せた金田は、まるで子供のような笑顔を残して飛び立った。
帰国後の話によると、「驚いたわ。表彰式にな、ヤンキースのエースだったエド・ロパットをはじめ、捕手のヨギ・ベラ、ビリー・マーチンたちが来てくれた。みんな日米野球で対戦した連中だ。興奮したよ。野球をやっていてよかった、と思ったわ。ホンマにな」。