「シモネッタのどこまでいっても男と女」田丸公美子氏

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 満州生まれで、先の大戦で過酷な逃避行を経験した夫に対し、「あなたが中国人に預けられていれば、私はこんな目に遭わずに済んだ」と言う著者。対して夫は、「残留孤児として帰国した僕は中国語通訳になり、国際会議で君と知り合い結婚する」と応戦。丁々発止の中に、どこか夫婦の絆を感じさせられる。

「結局夫婦は“割れ鍋にとじぶた”。どんなに腹の立つ男でも、しょせん自分がふさわしいから妻になっている。年を取った後のよりどころは、やっぱり夫婦なのだから、“諦念”の境地で耐えるしかないわね」

 夫だけでなく、両親に義両親、息子、そして忘れえぬイタリア男たちとのエピソードも紹介。涙と笑いの人生模様を堪能できるエッセーだ。
(講談社 1500円)

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