「伊東正義」国正武重氏

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 伊東は保守リベラルの伝統的派閥、宏池会の重鎮だった。当時は宏池会が元気だった。

「かつての自民党は最高権力者が右に急カーブを切ろうとすると、必ず、ブレーキがかかったものです。それがいまやオール主流派体制。宮沢喜一元首相は“自由はある日、突然なくなるものではない。目立たない形で徐々にむしばまれ、気がついたときにはすべてが失われている”と警鐘を鳴らした。その宮沢さんが“得がたい人”と評価したハト派政治家が伊東正義さんなんです」

 本の中にはたくさんのオフレコメモも出てくる。

「何十年ぶりに出しました。今の新聞記者は集団で取材しますが、当時は1対1です。枕元で話を聞くこともある。それだけの人間関係を築いていた。だから、批判しても、的を射ていれば、文句は言われないのです」

 自民党の保守リベラルは廃れ、安倍政権が危険な方向に突き進んでいる。ジャーナリストも権力者の腰巾着にしか見えない今、この本を読むと目が覚める。

(岩波書店 2500円)

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