「愛する伴侶を失って 加賀乙彦と津村節子の対話」加賀乙彦、津村節子著
がんで夫(吉村昭)を見送った津村氏と、くも膜下出血で突然、9歳年下の妻を亡くした加賀氏。80歳を前に連れ添った伴侶を失った2人が、故人を偲びながら生と死を語り合った対話集。
夫の闘病中も仕事をつづけ、全身全霊で看護することができなかったことを悔やむ津村氏。一方、旅行の前夜に妻が風呂場で倒れているのを発見した加賀氏は、葬式を出した後も同じ時間に目覚める日が続いたという。さらに、キリスト教の洗礼を受けていたために代々の墓がある寺で断られ、妻が眠る場所を確保するにも紆余曲折があったという。お互いの出会いから、死後の喪失感まで、苦楽を共にした伴侶の死と真摯に向き合った2人の言葉が心にしみる。
(集英社 520円+税)