「昭和史の10大事件」半藤一利・宮部みゆき著

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 昭和史研究家の半藤一利氏と歴史推理を得意とする宮部みゆき氏が「自分にとっての昭和史の大事件リスト」をアップし、それぞれの選出理由を語り合った対談本。戦後70年という節目を迎えた今、日本を変えた重大事件を掘り下げることで、今に続く昭和という時代の複雑な状況をひもといている。

 昭和5年生まれの半藤氏は「2.26事件、日独伊三国同盟、新憲法公布、ストリップショーの開始、60年安保騒動」など自らの実感を伴う事件を、宮部氏は「金融恐慌勃発、5.15事件、大政翼賛会発足、金閣寺焼失、水俣病等の3大公害問題」など今の社会問題につながる事件を選出。

 さらに双方が「東京裁判」を、米国の水爆実験に関して半藤氏は「第五福竜丸事件」として、宮部氏は「ゴジラ公開」として選んでいる。憲法9条の下敷きは戦前の不戦条約にあったこと、昭和23年にはストリップが始まりエロがマーケットになったことなど、思いがけない史実が興味深い。

(東京書籍 1200円+税)

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