「ありがとよ築地 魚河岸と生きた四十年」芝山孝著
職を探して放浪したものの、やっぱり築地で働きたい。口をきいてくれる人があって、天ぷらだね専門の仲卸「神勝」に職を得る。
再び芝専に戻るまで、30年近くここで働くことになった。
店は替わっても、築地で40年。魚市場の仕事と人間模様を見続けてきた。そんじょそこらの築地案内やグルメ探訪記からは知り得ない世界がそこにある。築地でもまれ、育てられた魚のプロは、「場所が移っても、芝専がある限り、私は魚を売り続ける」と言い切る。天職を得た人の充実ぶりがまぶしい。(廣済堂出版 1400円+税)