「うらやましい人生」ミッツ・マングローブ著

公開日: 更新日:

「何にも縛られず、自分に正直で、堂々と生きているミッツさんて、うらやましい!」

 そんな言葉を投げかけられると、伸ばした背中を丸めたくなる。だって「男のできそこない・女のなりそこない・ゲイの落ちこぼれ」という3種盛りの完成形が私なのだから──。

 40歳になったミッツ・マングローブの自伝。子ども時代、ロンドン暮らし、音楽、女装人生、恋愛などについて語り、「普通ではない」人生を初めて明かした。

 本名は徳光修平。父親は伊勢丹の宣伝部、母親は元博報堂のコピーライターで、生家は横浜。ハイセンスなイケイケ夫婦の間に生まれた修平は、体が大きく、言葉も早く、いわゆる「賢い坊や」だった。紛れもない男として生まれ育ちながら、成長するにつれて、普通ではない自分に戸惑う。

「僕」や「俺」が言えない。男の服が似合わない。セクシュアリティーは「男として同性が好きな同性愛者」。女の心を持っているわけでもなければ、女になりたいわけでもない。しかし、小さいころからの女装癖は強まるばかり。「女装が好きな男性同性愛者」という立ち位置は複雑だ。ロールモデルのない人生をひとり手探りするうちに、徳光修平の存在がだんだん薄くなり、ミッツ・マングローブに取って代わられることになる。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  2. 2

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    竹内涼真“完全復活”の裏に元カノ吉谷彩子の幸せな新婚生活…「ブラックペアン2」でも存在感

  5. 5

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  1. 6

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7

    二宮和也&山田涼介「身長活かした演技」大好評…その一方で木村拓哉“サバ読み疑惑”再燃

  3. 8

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 9

    小池都知事が3選早々まさかの「失職」危機…元側近・若狭勝弁護士が指摘する“刑事責任”とは

  5. 10

    岩永洋昭の「純烈」脱退は苛烈スケジュールにあり “不仲”ではないと言い切れる