「部落解放同盟『糾弾』史」小林健治著

公開日: 更新日:

 1922(大正11)年、全国水平社は創立大会で「吾々に対し穢多及び特殊部落民等の言行によって侮辱の意志を表示したる時は徹底的糾弾を為す」と決議。その差別表現糾弾の精神は、戦後の部落解放全国委員会、部落解放同盟へと受け継がれてきた。しかし、近年、同盟は部落解放運動の生命線ともいえる「糾弾」にダブルスタンダードを持ち込み、抗議しやすい企業やメディアなどに対してのみ行い、本来の対象である権力への糾弾を回避していると著者は指摘する。

 本書は、メディアによる差別表現事件と、それに対する同盟の糾弾の歴史を追いながら、弱体化する同盟が抱える問題の本質と反差別運動再生への道を展望したテキスト。

(筑摩書房 800円+税)

【連載】新書あらかると

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末