「野球小僧の戦後史」ビートたけし著

公開日: 更新日:

 下町の空き地でやった三角ベース、川上哲治に憧れて家のペンキでバットを赤く塗って赤バットにした記憶、スター長嶋茂雄の登場、池田勇人内閣が所得倍増計画を打ち出していた時代に突如できた東京スタジアム……。本書は、昭和22年生まれの著者が、国民的スポーツとなった「野球」を軸に、エンタメの盛衰や当時の世相を含めた戦後史を振り返った一冊だ。

 戦後70年の日本の歩みは、団塊の世代である著者の体験と重なる。遊び道具は手作りして井戸水を飲んで過ごし、町に湯たんぽでできたガソリンタンクのオートバイが走っていた少年時代から、食卓にはコカ・コーラやワイン、町にはフェラーリやレクサスが登場し、さらにはテレビ、インターネット、フェイスブック、LINEが出現する現代まで、信じられない速度で時代が変化した。本書をたどると団塊の世代が体験した戦後の日本は、豊かさを求めて猛スピードで何もかも変えてきたことが見えてくる。(祥伝社 1400円+税)



【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末