「光と影を映す」山田太一著

公開日: 更新日:

 コンピューターなどが普及して便利になったことが人をちょっと孤独にして、ドラマがなくなってきた。

 例えば、昔は「○○駅まで」と言って駅員から切符を買った。そこで著者は、気が弱くて「春日原まで」とどうしても言えずに苦しむ人物を主人公にしたドラマを書いた。今は自動販売機で買えるからドラマは消えてしまった。もしかしたら心を育てたかもしれないものが、制度や技術によって不要となった。便利さは人をのっぺらぼうにしてしまうところがある。愚直だったり無神経だったりして排除されそうな人だけどピュアなものを持っている人をすてきに描きたい。

「時代のたましい」を描いてきた著者が語るドラマ哲学。(PHP研究所 1200円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  2. 2

    大阪・関西万博の前売り券が売れないのも当然か?「個人情報規約」の放置が異常すぎる

  3. 3

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  4. 4

    ヤクルト茂木栄五郎 楽天時代、石井監督に「何で俺を使わないんだ!」と腹が立ったことは?

  5. 5

    バンテリンドームの"ホームランテラス"設置決定! 中日野手以上にスカウト陣が大喜びするワケ

  1. 6

    菜々緒&中村アン“稼ぎ頭”2人の明暗…移籍後に出演の「無能の鷹」「おむすび」で賛否

  2. 7

    巨人「先発6番目」争いが若手5人で熾烈!抜け出すのは恐らく…“魔改造コーチ”も太鼓判

  3. 8

    ソフトバンク城島健司CBO「CBOってどんな仕事?」「コーディネーターってどんな役割?」

  4. 9

    テレビでは流れないが…埼玉県八潮市陥没事故 74歳ドライバーの日常と素顔と家庭

  5. 10

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ