「日ノ出家のやおよろず」安藤祐介著
「日ノ出家のやおよろず」安藤祐介著
日ノ出楽志(たのし)は出産を控えた妻の灯里(あかり)のためにカレーライスを作ったのだが、炊飯器の炊飯ボタンを押し忘れたために、冷凍ごはんを解凍して食べるはめになった。すでに夜9時になっている。父親になるのだからとやる気満々でも、洗濯機に洗剤を入れ忘れたり、ミスだらけだ。
日ノ出家の炊飯器タケルはリサイクルショップで買われて日ノ出家にやってきたのに、自分の炊いた炊きたてご飯を食べてもらえず、しょんぼりしていた。楽志は炊飯器やテレビに名前をつけて大切に使っていたので、モノに心が宿っていたのだ。
家にあるモノたちが家族を応援するメルヘンのような物語。
(中央公論新社 2090円)