「アリガト謝謝」木下諄一氏
多額の寄付に対し、有志で感謝広告を出した日本人の事例も紹介されている。フリーランスの女性グラフィックデザイナーのツイッターでのつぶやきが端緒となり、任意団体「謝謝台湾計画」を立ち上げ、名のある作家や会計士がつながり、ブログをはじめ、口座を開き……ついには感謝広告の掲載に至った。
「日本人の有志が感謝広告を出したことを、ほとんどの日本人は知らないわけですが、日本人にこの日台交流の事実をぜひ知ってほしいですね。台湾人は日本政府が感謝広告を出さなかったことを根に持ってはいないと思いますが、やはり自分たちの寄付活動を日本人に知ってほしいと思っている、と取材をしながら痛感しました。この本を読んで一番うれしいのは台湾人かもしれませんね」(講談社 1500円+税)
▽きのした・じゅんいち 1961年、愛知県生まれ。東京経済大学卒業。商社勤務後、独立し89年、大学在学中に短期留学した台湾へ。日本語教師、雑誌記者を経て台湾観光協会発行の雑誌「台湾観光月刊」編集長に。2011年、中国語で執筆した小説「蒲公英之絮(邦訳=タンポポの綿毛)」で第11回台北文学賞受賞。台湾在住。