「嫁をやめる日」垣谷美雨著
ある夜、夏葉子のもとに、夫が急死したという電話がかかってきた。
出張に行くと言って家を出たはずの夫が発見されたのは、なぜか地元、長崎市内のホテルだった。夫とは長年、冷めた関係であったため悲しさはない。しかしある日、夫が結婚前から「サオリ」に振り込みを続けていたことを知り、ショックを受ける。サオリは夫の中学の同級生で、先日形見分けをしてほしいと訪ねてきた女性だった。
一方、最初は同情的だった義家族や親戚が次第に過干渉になり、時代錯誤な「嫁」扱いをしてくるようになる。息苦しくなった夏葉子はある情報を手に入れ……。
義父母や婚家からの「卒業」を描く、書き下ろし長編小説。(中央公論新社 1600円+税)