「役に立たない読書」林望著
「読書に貴賎なし」と唱える著者による読書のススメ。
「読書が人格を涵養する」と思い込んでいる人が多いが、読書に過大な期待をするのは間違っていると断言。では、読書には意味がないのかといえば、それも違う。人生を豊かに楽しく過ごす秘密は、強制された読書ではなく「自由な読書」にあり、大切なのは「読んだ本の内容について考える」ことだと説く。
読書が英知の形成に作用を及ぼすとしたら、それはたくさん読んだからではなく、本にまつわる「考える営為」のゆえであり、大切なのは考え考え読んでいくことなのだという。古書店との付き合い方や、純粋な意味で読む楽しみをもたらしてくれる古典の魅力などを語りながら、読書の喜びを伝える。(集英社インターナショナル 720円+税)