「魔界都市ブルース霧幻の章」菊地秀行著
地震によって孤立し、妖物がひしめく魔境と化した新宿は、月に一度、霧の時を迎える。せつらは、その霧とともに「秋人捜しセンター」を訪ねてきた加奈江から恋人・神台の捜索を依頼される。神台はAI(人工知能)の開発者で、会社で異例の昇進を果たした翌日に消えたという。翌日、男が3人せつらを訪ねてくる。男たちの依頼も神台だった。
彼らは神台が持ち出した機密の流出を恐れていた。3人を追い返したせつらの前に、かつてセンターでアルバイトをしていた範子が訪ねてくる。3年前、結婚2日後に失踪した範子は自分が結婚したことさえ覚えていなかった。
霧の中に消える者や帰還した者たちが交錯。霧の向こうに潜む妖物たちとせつらの戦いを描く長編エンターテインメント。(祥伝社 860円+税)