「仕事なんか生きがいにするな」泉谷閑示氏
著者が言う主体性とは、自分がこうしたい、という純粋な欲求や考えのこと。そしてそこには喜びがある。
消費社会の中で、我々は「役に立つか立たないか」「わかりやすいか」「面白いか」を求めるようになり、やがてそれは人に対しても求められるようになった。仕事では、人間は生産マシンのように捉えられ、会社や他人、出世のために“労働”することに価値が見いだされた。何のために働くのか、何のために生きるのか。それを考えることもできなくなったのだ。
主体性を失った人間は、どうやって自分の人生に意味を見つければいいのか。著者は「手に入らないけど、追いかけ続けたくなるもの。つまり魂を揺さぶられることに目を向けることです」と提案する。
「21世紀前後まで、人間がなぜむなしさを抱かなかったかというと、“満たされる生活”に向かって生きてきたから。でもこの目標には終わりがありました。手にできるものだったからです。これから私たちが求めていくべきことは自分の感性を磨いていくことで、これには終わりはありません。生きる意味にもつながっていきます」