「仕事なんか生きがいにするな」泉谷閑示氏
忙しくて昼食のメニューを考えるのが面倒で、何を食べるか決めているというビジネスマンは多い。
「生きる喜びである食事がただのガソリン補給になっています。自分の意思とは別に、SNSで写真を公開するためにレストランを選ぶ人もいます。でも、本当は自分は何が食べたいのか、考えることに意味があるのです。死んだ感性では、仕事をしても旅行に行っても何をしていても、心が満たされることはありません」
タイトルの〈仕事なんか生きがいにするな〉は、働くなということではない。空虚さを感じながらルーティンで労働することの無意味さ、見つけられなかった生きがいを「仕事にある」とごまかすな、と言っているのだ。労働を中心とした生活から、自分の日常を充実させることで、仕事上でも新しい発見をし、新たなものを生むことにつながるという。
「人間はご飯が食べられて仕事があって、家族がいれば生きられる生物かといえばそうではない。生きがいが見つけられないとつらいんです。そのために人は、まず自分が空虚であることに向き合わなければなりません。悩み考えることが人間で、感性は暇や退屈な時間から生み出されるもの。生きがいは“労働”ではない自分の時間から見つかるのです」(幻冬舎 780円+税)