「誓います」ダン・サヴェージ著、大沢章子訳

公開日: 更新日:

 中心人物は、D・Jという養子を育児中のダンとテリーの同性カップル。本書は、ふたりがさまざまな外野の声に右往左往しつつも「結婚」について考え、互いが納得できる形を見つけていく過程をユーモラスに描いたノンフィクションだ。

 前書「キッド 僕と彼氏はいかにして赤ちゃんを授かったか」の続編である本書が執筆されたのは、2004年。キリスト教保守派の人々を中心に同性婚反対議論が巻き起こっていた時期にあたる。そんな社会的背景のなか、「悪運を呼び込みたくない」というダンと「ストレートのまねをしたくない」というテリーのカップルは、結婚など考えていなかったはずが、ふたりに結婚を勧める母親や「ずっと一緒にいる約束」のためにふたりの結婚を望み始めたD・Jの言葉に背中を押されるようにして、それぞれの本心をさらけ出す。

 ふたりの葛藤を通して、同性愛者が家族をつくることから排除される理不尽さと、結婚制度の意味を深く考えさせられる。(みすず書房 3000円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  2. 2

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  3. 3

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    大河ドラマ「べらぼう」の制作現場に密着したNHK「100カメ」の舞台裏

  1. 6

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  2. 7

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  3. 8

    下半身醜聞ラッシュの最中に山下美夢有が「不可解な国内大会欠場」 …周囲ザワつく噂の真偽

  4. 9

    フジテレビ第三者委の調査報告会見で流れガラリ! 中居正広氏は今や「変態でヤバい奴」呼ばわり

  5. 10

    トランプ関税への無策に「本気の姿勢を見せろ!」高市早苗氏が石破政権に“啖呵”を切った裏事情