「『生きものらしさ』をもとめて」大沢文夫著

公開日: 更新日:

 生物物理学者の著者は、「生きものらしさとは何か」を追究してきた。いちばん大切なのは自立的精神で、その背後にあるのは自発性だが、下等生物のゾウリムシが変動する自然環境の中ですみやすい場所を探してあちこち泳ぐのは自発的運動である。そういうゾウリムシの自発性とヒトの自由意思とは隔絶したものではなく、下等な生物から高等な生物に上がっていくときに、自発性について「段階はあるが断絶はない」という。だから、研究者は、自発性がなぜ自由意思になり、なぜ意識が現れ、心が現れたかを研究しなくてはならない。ヒトは特別な存在ではない。ヒトの脳だけを研究していても分からない。

「生きもの」の本質を分かりやすく解説した一冊。(藤原書店 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    メッキ剥がれた石丸旋風…「女こども」発言に批判殺到!選挙中に実像を封印した大手メディアの罪

  2. 2

    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

  3. 3

    都知事選敗北の蓮舫氏が苦しい胸中を吐露 「水に落ちた犬は打て」とばかり叩くテレビ報道の醜悪

  4. 4

    東国原英夫氏は大絶賛から手のひら返し…石丸伸二氏"バッシング"を安芸高田市長時代からの支持者はどう見る?

  5. 5

    都知事選落選の蓮舫氏を「集団いじめ」…TVメディアの執拗なバッシングはいつまで続く

  1. 6

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 7

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  3. 8

    ソフトバンク「格差トレード」断行の真意 高卒ドラ3を放出、29歳育成選手を獲ったワケ

  4. 9

    “卓球の女王”石川佳純をどう育てたのか…父親の公久さん「怒ったことは一度もありません」

  5. 10

    松本若菜「西園寺さん」既視感満載でも好評なワケ “フジ月9”目黒蓮と松村北斗《旧ジャニがパパ役》対決の行方