「いろいろあった人へ」伊集院静著

公開日: 更新日:

 ベストセラー「大人の流儀」シリーズからえりすぐりを集めた傑作選。

 3年前に前妻と同じ病気で亡くなった書店員のA子さんとの思い出を振り返りながら、彼女の情熱をずっと覚えていたいから彼女が働いていた書店でサイン会を続けているという著者。

 これまでの半生で多くの別離を経験してきたが、彼ら彼女たちは「さよなら」とは一言も言わなかったが、時折、彼らの元気な姿が見える時がある。そうした時に「さよならも力を与えてくれるものだ」と思うとつづる。

 他にも、若き日に世話になったホテルの支配人との思い出や、前妻の通夜の席で彼女の祖父が自分に語った言葉など。人生で出会いと別離を繰り返してきた氏の言葉が読者の背中をそっと支え、前に向かわせる。

(講談社 926円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意

  2. 2

    石橋貴明のセクハラに芸能界のドンが一喝の過去…フジも「みなさんのおかげです」“保毛尾田保毛男”で一緒に悪ノリ

  3. 3

    佐々木朗希“大幅減速”球速160キロに届かない謎解き…米スカウトはある「変化」を指摘

  4. 4

    ヤクルト村上宗隆 復帰初戦で故障再発は“人災”か…「あれ」が誘発させた可能性

  5. 5

    清原果耶ついにスランプ脱出なるか? 坂口健太郎と“TBS火10”で再タッグ、「おかえりモネ」以来の共演に期待

  1. 6

    松嶋菜々子の“黒歴史”が石橋貴明セクハラ発覚で発掘される不憫…「完全にもらい事故」の二次被害

  2. 7

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  3. 8

    「皐月賞」あなたはもう当たっている! みんな大好き“サイン馬券”をマジメに大考察

  4. 9

    ヤクルト村上宗隆「メジャー430億円契約報道」の笑止…せいぜい「5分の1程度」と専門家

  5. 10

    常勝PL学園を築いた中村監督の野球理論は衝撃的だった…グラブのはめ方まで徹底して甲子園勝率.853