「読書の価値」森博嗣著
子供の頃、本を読むのが大の苦手だったという人気作家による読書論。
氏が読書に開眼したのは、小学校4年。電波について知りたいと思ったのだが、大人に聞いても誰にも答えてもらえず図書館で見つけた本で納得。人類の積み上げてきた知識が本に詰まっていることに気づき、以来、本を読み漁るようになったという。そんな自身の本との出合いを振り返りながら、読んで、その内容を自分のものとして「展開」する行為が本来の読書体験であり、速読などは読書ではないと説く。
本に出合うことは、人に出会うことと限りなく近い。ゆえに本選びは友達を選ぶ感覚に近く、誰かにすすめられたりしたものではなく、自分で選ぶこと、その選ぶ時間が必要だと、氏の創作を支えてきた読書の極意を明かす。
(NHK出版 820円+税)