「ハロー・ワールド」藤井太洋著
専門を持たない「何でも屋」エンジニアの文椎(ふづい)はiPhone用の広告ブロックアプリを作っている。グーグルの郭瀬(くるわぜ)、ソフト会社の中国人女性の汪(ワン)と3人で開発したアプリ「ブランケン」が、インドネシアで爆発的に売れ出した。汪がインドネシア語版を作ってくれてはいたが、「ブランケン」だけが消せる広告は政府広報だけなのに、ユーザーのIPアドレスを調べてみたら、ニューギニア島のパプア州の州都ジャヤプラに集中していた。どうやらパプア州政府が独立運動を行っている団体「OPM」を盗撮していて、OPMがその盗撮よけに「ブランケン」を使っているらしい。(表題作)
IT業界で生きるエンジニアたちが活躍する近未来小説5編。 (講談社 1500円+税)