「『カッコいい』とは何か」平野啓一郎著
誰もが日常的に使う「カッコいい」とは、どういうことかをとことん考え抜くエッセー。
「カッコいい」は1960年代に新語のように突然使われ始め、消えることなく今も日常語として定着している。「カッコいい」ことの価値は、デザインの領域からアートまで巨大な影響力を被っている。「カッコいい」は、民主主義と資本主義が組み合わされた世界で動員と消費に巨大な力を発揮し、「カッコいい」とは何かが分からなければ私たちは20世紀後半の文化現象を理解することができないとまで著者は言う。
一方で、同じ事象についてある人は「カッコいい」と感じても、ある人は「カッコ悪い」と感じるなど、個人のアイデンティティーとも深く結びついている。そんな「カッコいい」の本質に迫る大著。
(講談社 1000円+税)