「てしごと」澤田瞳子ほか著
京都の洛北にある鷹ケ峰御薬園の女薬師、元岡真葛は、鍼医の御薗常言から「大同類聚方」という医書を知っているかと聞かれた。「大同類聚方」とは平城天皇の詔によって撰された全百巻の医書だが、偽書も多い。その真本を持っていると言う貧しい身なりの老婆が常言の家を訪れたが、ゆすりたかりだと思い込んだ御薗家の家令がたたき出してしまった。その老婆が、常言と不仲の弟、常懿(つねふと)のところに「大同類聚方」を持ち込んだらしい。別家を許されている弟が手に入れたものが本物だったら、御薗家本流の名が地に落ちるという。(澤田瞳子著「春雀二羽」)
他にあさのあつこら6人の女性作家が女職人を描いた時代小説アンソロジー。
(徳間書店 1700円+税)