「音楽が聴けなくなる日」宮台真司ほか著
昨年、ピエール瀧氏が麻薬取締法違反の疑いで逮捕された。その翌日、所属レーベルは彼がメンバーとして加わるバンド「電気グルーヴ」のすべての音源・映像の出荷停止、在庫回収、配信停止を発表。サブスクリプション(定額聴き放題)のサービスからも彼らの楽曲は一斉に消えた。
社会学者の永田夏来氏らは困る人がいないのにわざわざ自粛するこの「異常な事態」に疑問を抱き、問題提起のための署名活動を展開し、多くの賛同者を得た。平成以降、このような「自縛的になり、画一的な決定をする」現象としての自粛が目立つという。
今回の騒動と、過去の音楽家自粛の歴史を振り返りながら、社会学で「再帰性」と呼ばれるこの現象と自粛のあり方について考察する。
(集英社 820円+税)