「日本史ひと模様」本郷和人著
日本史においては「地位」よりも「人」が重視されていたと指摘。他国の多くは、その地位に就くことによって人は権限・特権と一体化すると考える。だからひとたび皇位・王位を獲得した人は、死ぬまで地位を手放さない。地位こそが人を正当化するからだ。
一方の日本では、世襲の観念が強固で、人を正当化するのは第一に血統であり、「地位」が人物に権限を付与するのではなく、権限をつくり上げた「人物」が地位を選び取るのだという。そのことを「くじ引き将軍」として知られる室町幕府の第6代足利義教を例に解説する。
他にも、関ケ原の戦いにおける上杉家の動向の不可解さなど、さまざまな切り口から大胆に歴史の真相に迫っていく。
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