「老いた男」トマス・ペリー著 渡辺義久訳
チェイスは、10年前、娘に勧められ、2頭の犬を飼い始めた。朝、犬の散歩に出掛けた彼は通りかかった車に不審を抱く。急いで帰宅した彼は、逃亡用バックパックを確認する。バックパックには現金や武器、そしていくつもの偽の身分証が入っている。案の定、夜中に忍び込んできた不審者を射殺したチェイスは、犬を連れ家を出る。
30年ほど前、陸軍の工作員だったチェイスは、反政府組織に提供する資金をリビアに持ち込んだ。だが、仲介役がその資金を着服。帰国命令を無視して仲介役から2000万ドルを取り戻したチェイスは以来、人目を忍んで生きてきたのだ。なぜ今頃になって組織が動きだしたのか不審を抱きながらチェイスは逃亡する。
エドガー賞受賞作家による逃亡アクション長編。
(早川書房 1220円+税)