「よその島」井上荒野著

公開日: 更新日:

 西荻窪で骨董店を営んでいた碇谷芳朗と蕗子夫婦は、店の客だったミステリー小説家の野呂晴夫とともに島に移住した。その移住話を野呂が持ち出したとき、芳朗は「殺人者」の逃亡先として、それを選んだのだ。島の家の住み込みの家政婦、仙崎みゆかと顔を合わせたとき、芳朗はこの女を知っているような気がしたが、それは誰にも言わないほうがいいと思った。

 芳朗の脳裏に30年以上前の記憶が蘇った。あのマンションのベランダには、ラベンダー色で、ラッパを吹く天使のモチーフがある手すりがあった。その手すりを、青いマニキュアをした女の手が握っていた。

 読み手を心の迷路に誘い込むサスペンス小説。

(中央公論新社 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    眞子さん極秘出産で小室圭さんついにパパに…秋篠宮ご夫妻に初孫誕生で注目される「第一子の性別」

  2. 2

    1年ぶりNHKレギュラー復活「ブラタモリ」が好調も…心配な観光番組化、案内役とのやり取りにも無理が

  3. 3

    大リストラの日産自動車に社外取締役8人が「居座り」の仰天…責任問う大合唱が止まらない

  4. 4

    芳根京子“1人勝ち”ムード…昭和新婚ラブコメ『めおと日和』大絶賛の裏に芸能界スキャンダル続きへのウンザリ感

  5. 5

    所属先が突然の活動休止…体操金メダリストの兄と28年ロス五輪目指す弟が苦難を激白

  1. 6

    国民民主党・玉木代表は今もって家庭も職場も大炎上中…「離婚の危機」と文春砲

  2. 7

    「嵐」解散ツアーは売り上げ500億円? オイオイ、どんだけ儲けるつもりだよ

  3. 8

    永野芽郁は映画「かくかくしかじか」に続きNHK大河「豊臣兄弟!」に強行出演へ

  4. 9

    眞子さん渡米から4年目で小室圭さんと“電撃里帰り”濃厚? 弟・悠仁さまの成年式出席で懸念されること

  5. 10

    「キャロル」でのジョニー大倉の先見性とボーカルはもっと評価すべき