「場末のシネマパラダイス」田村優子写真・文
著者の実家は福島県本宮市にある本宮映画劇場。日本で唯一、カーボン式映写機が稼働している。「封切館」でも「名画座」でもなく、不定期で上映会などを開催している。封切りから半年遅れの上映が平常状態。あちこちの映画館でフィルムの切れた箇所をつないだりしているので、ラブシーンが話題の映画でラブシーンが消えていたり、内容が飛んでいても苦情はあまり出ない。著者の自宅にはうさんくさいポスターがいっぱい。「よろめき迷探偵」というおもしろそうなタイトルの映画は、著者の父史上、最高におもしろくなかった。
力道山の追悼映画や、「情欲の谷間」といったドB級映画のポスターの写真満載!
(筑摩書房 1980円)