「ぼくの昆虫学の先生たちへ」今福龍太著

公開日: 更新日:

 文化人類学者の今福は、偉大な作家や芸術家が、生物学や自然科学にも深い造詣をもって注目すべき仕事をし、しかもその2つの領域が有機的に連関しているように思われることに強い関心を抱く。そのひとりが鱗翅(りんし)学者でありながら「ロリータ」の作者でもあるウラジーミル・ナボコフだ。今福は高校生のときに「ロリータ」を読み、その倒錯的な内容にショックを受けた。

 だが、後にナボコフの自伝的な小説「賜物」に、チョウを追い続けた者の至福の感覚が語られているのを知り、「虫採り」と「孤独」との間の深く豊かな関係に気づく。(「ウスバシロチョウの自伝」)

 他に、ヘルマン・ヘッセや手塚治虫ら、昆虫に詳しい作家14人に宛てた架空の書簡の形で書かれたエッセー。

(筑摩書房 1870円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意

  2. 2

    石橋貴明のセクハラに芸能界のドンが一喝の過去…フジも「みなさんのおかげです」“保毛尾田保毛男”で一緒に悪ノリ

  3. 3

    佐々木朗希“大幅減速”球速160キロに届かない謎解き…米スカウトはある「変化」を指摘

  4. 4

    ヤクルト村上宗隆 復帰初戦で故障再発は“人災”か…「あれ」が誘発させた可能性

  5. 5

    清原果耶ついにスランプ脱出なるか? 坂口健太郎と“TBS火10”で再タッグ、「おかえりモネ」以来の共演に期待

  1. 6

    松嶋菜々子の“黒歴史”が石橋貴明セクハラ発覚で発掘される不憫…「完全にもらい事故」の二次被害

  2. 7

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  3. 8

    「皐月賞」あなたはもう当たっている! みんな大好き“サイン馬券”をマジメに大考察

  4. 9

    ヤクルト村上宗隆「メジャー430億円契約報道」の笑止…せいぜい「5分の1程度」と専門家

  5. 10

    常勝PL学園を築いた中村監督の野球理論は衝撃的だった…グラブのはめ方まで徹底して甲子園勝率.853