「ルポ女性用風俗」菅野久美子著
女性用風俗(女風)で、男を「買う」女性たちの本音に迫ったルポ。
34歳まで処女だったあゆみさんは、女風を利用した理由を「自己肯定感を上げたかった」と話す。セックスは美女にしか許されない行為だと思い込んでいたが、SNSで体験ルポを目にして、一大決心。すべてが初体験でセラピスト(女風で女性の相手をする男性)の指が体内に入った瞬間、自分でもできるんだと感動したという。女風は本番行為がないため、翌日、SNSで知り合った男性とワンナイトのセックスに挑み、処女を喪失したそうだ。
ほかにも、夫とは20年来のセックスレスで欲望を抑えられずに40代後半で利用した幸子さんなど。買う女性たちの各事情から現代社会が抱えるセックスや愛の貧困が浮かび上がる。
(筑摩書房 924円)