「日本的『勤勉』のワナ」柴田昌治著
主要先進国の平均年収ランキングで日本は22位(3万8515ドル)。1位のアメリカとは3万ドル以上の差がある。他の競合国が急速に生産性を伸ばす中、日本も努力してきたが、その努力がバブル崩壊後の約30年、生産性の伸びにはほとんど結びついていない。
この厳しい現実は、努力の方向性が間違っていることを示すと著者は言う。そして、この30年間の停滞の原因は「日本経済の高度成長を支えてきた、日本人が持つ職務に忠実な勤勉さ」だと指摘する。
なぜ勤勉さが停滞を生むのか。それは何も考えずにただ規範に従う「思考停止」を招いてしまうからだという。日本人の勤勉さがどのように生まれたのか振り返り、勤勉さの負の側面を検証するとともに、今後どのように活用するべきかを説いた働き方指南書。
(朝日新聞出版 869円)